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皇族「大谷光瑞」と台湾の別荘「逍遥園」

更新日:3 日前


 


日本統治時代に台湾の農業に貢献した人は、たくさんいます。例えば、烏山頭ダムの設計者「八田与一」や台湾蓬莱米の生み親の「磯栄吉」と「末永仁」などの人です。今回は、「大谷光瑞」と彼の台湾の別荘「逍遥園」をご紹介します。

 

  大谷光瑞は、京都にある浄土真宗の西本願寺で生まれ、第二十二代西本願寺宗主や教育家、探検家として活躍した有名人です。さらに、大谷氏の妻「籌子」は、大正天皇の皇后「貞明」の妹ですので、大谷氏は皇族の身分でもあります。ちなみに、大谷氏は、中国の武漢で孫文に会ったこともあり、孫文の革命運動を支えていた人なんです。

 

 


 

逍遥園は、昔台湾南部の高雄郊外にあり、1940年(昭和15年)に熱帯植物試験農場の中に建てられた大谷氏の別荘です。別荘は、日本人の大工さんによって建てられたモスグリーンの和洋折衷の建物です。当時、二階建ての逍遥園は、接待や農業教育の場所などの目的に使われていた以外に、仏堂としての役割も担っていました。逍遥園を建設の際は、日米の関係が悪化し続けていたので、戦争に備え、ここに二つの防空壕も建設しました。





国民政府時代に入ると、熱帯農業試験農場は「行仁新村」という「眷村」として改築されました。眷村は、国共内戦で国民政府の旧大統領「蒋介石」とともに、台湾に撤退してきた軍人とその家族が暮らしていた集落です。この日本統治時代に建てられた逍遥園は、眷村の付近にある軍病院(現在の802軍病院)の院長や将軍など身分が高い人の宿舎になりました。その後、逍遥園と眷村「行仁新村」の建物は老朽化したので、眷村の改築計画によって、逍遥園が解体されてしまうところまで追い込まれました。しかし、この日本統治時代に建てられた逍遥園を古跡として保存しようという高雄市民団体や学者らによる請願運動を通じて、逍遥園の保存に成功しました。2010年逍遥園は高雄文化財になっています。2017年修復工事が始まりました。修復工事の無事終了を祈るため、日本からの西本願寺住職の儀式がここで行われました。台湾の大工さんが日本の大工さんと協力して修復された逍遥園は、三年をかけて、2020年に無料で開放されています。




 

  逍遥園には、高雄MRTのオレンジラインで信義国小駅で降り、一番出口から右側へ少し歩くと、行くことができます。開園以来、日本と台湾の繋がりが深くある「逍遥園」は、台湾人はもちろん、日本人の観光客にも人気があります。

 

  修復された逍遥園は、一階の展覧室と二階の生活の空間、庭園の三つのエリアに分けられ、それぞれ魅力があります。ここでゆっくりと見学すれば、所有時間は約2時間です。





入り口に入ると、蓮の池にある庭園が見られます。実は、その庭園は昔逍遥園の後院でした。蓮の見頃に来たら、逍遥園と蓮の池を融合させた美しい風景が見られます。蓮の池から奥に行くと、昔の「大食堂」につきます。大食堂は、展覧室として使われています。展覧室の入り口に日本語のパンフレットもあるので、ぜひご利用ください。ここで逍遥園に関する歴史、建材、模型、写真などものが展示されている以外、お茶室や売店が設けられています。売店ではキーホルダーや絵葉書、栓抜きなど小物が売られています。




 

大食堂の隣に、赤レンガとサンゴ礁石で作られた「防空壕」が二つあります。180人が収容できた大防空壕は、修復工事に関係がある動画の放送、講座などの目的に利用されています。落ち着いた雰囲気が漂っている大防空壕は、一休みのスポットとして人気があります。60人が収容できた小防空壕は、今はオフィスとして使われています。

 



 

石造の階段を登ると二階の履物置き場につきます。二階は、昔大谷氏の主な生活場所でした。中には、書斎、寝室だけではなく、広間、仏堂、炊事場、座敷などの場所もあります。




 

   ここで、いくつかの見所をご紹介します。まず、玄関と座敷にある「網代天井(あじろてんじょう)」です。網代天井は、木を薄く加工した材料を使って編み込みで組み合わされた手作りの天井です。この独特な天井は、身分が高い人しか使えなかったそうです。



 

 

次の見所は、逍遥園ならではの「浄土真宗の家紋」です。家紋は、車寄せにも広間にもあります。じつは、それらの家紋は、高雄市歴史博物館(日本統治時代に建てられた旧高雄市役所)にある浄土真宗の家紋を真似して作られたものです。仏堂の左側の壁に置かれた鉄骨造りの梁も見逃さないでください。鉄骨造りの梁は、大谷氏のお父さんが京都で建てた別荘「三夜荘」にも使われたものなんです。当時、建材が足りないので日本から運んで来られました。さらに、広間にある船の底部のような洋風天井「船底天井」も見る価値があります。




  

書斎では、大谷氏が書いた本や石碑のほか、文字など物を見ることができます。特に目が惹かれるのは、一列のインド系文字「梵字」です。「百獣の王(獅子)のような勇気や威厳がある仏さまが、衆生を苦しみから救うことができる」という意味があるそうです。





逍遥園には、和室によく見られる原木で作られた床柱が四つあります。広間に黄檀の木が2本、書斎に樫の木が1本、座敷に黒檀の木が1本です。昔も今も貴重な原木建材に属しているので、ここに来たら、見てください。





歴史が80年以上ある逍遥園は、台湾と日本の歴史に深く触れられるスポットと言えるでしょう。台湾南部の高雄にきたら、ぜひ足をお運びください。



(許可なく転載することを禁じます)



参考:

逍遥園

定休日:月曜日




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