台湾の三大節句と言えば、お正月、端午節(端午の節句)、中秋節(十五夜)です。
今回は台湾の中秋節を紹介したいと思います。

台湾では、旧暦の8月15日にあたり、中秋節と呼ばれる祝日になっています。台湾人にとっては大事な行事なので、多くの人が里帰りし、一家団欒で楽しく過ごします。また、この日が近づくと台湾人は取引先や親友などに月餅を送り合う習慣があります。台湾の月餅にはいろいろな味があります。パイナップルやナツメ、メロンなどのフルーツの餡のほか、肉そぼろ、肉デンブ入りの月餅も人気があります。

中秋節に台湾だけで他の中華圏で見かけられない風物詩は「バーベキュー」です。三十年程前にある醤油屋さんの広告に影響されて、台湾では中秋節にバーベキューをするようになりました。事前に肉、野菜、魚などの食材を用意し、家の前や近くの公園で家族と友達と一緒にバーベキューをしたり、花火をしたりしてとても賑やかです。近年、バーベキュー業者がお宅で豚の丸焼きをしてくれるサービスを提供します。今年(2022)あるバーベキュー業者がお客様のお宅で鰐の丸焼きをしたニュースが放送されたので話題になっています。

更に、台湾では「柚子」という呼ばれるフルーツ、文旦を食べる風習があります。柚子の「柚」の発音は北京語の「佑」と同じ、「佑」は家族を守るという意味があります。

また、中国から移住した閔南人(台湾人にいる一つの民族)は、十五夜には「博状元」というサイコロ遊びで楽しく過ごします。「博状元」は、元々離島である金門の中秋節の伝統的なイベントであり、もう300年以上の歴史があります。六つのサイコロと大きな碗を用意し、簡単に遊ぶことができます。基本的な遊び方は赤い四点によって判断されます。四つの赤い四点が出たら「状元」と呼ばれる勝ち手になります。状元に逆転するのは、五つ以上の赤い四点または五つ以上の黒い六点が必要です。近年、金門政府がこの恒例イベントに力を入れている観光活動として人気があります。参加した人が状元になれば、金門政府が用意した賞品を抽選する資格が得られます。抽選品は盛り沢山あり、最大のは車一台がもらえるそうです。この時期に金門に来たら、ぜひ、体験してみではいかがでしょうか。

家庭円満を象徴する祝日にあたる十五夜は、日本の十五夜とは違いますから、台湾独特の中秋節の文化を体験してみてもらいたいです。
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