吳園は「台湾の古都」と呼ばれる台南の中西区にあります。清の時代の「台湾四大の名園」の一つとして知られています。
吳園の歴史といえば、オランダ時代に遡ります。その時に「何斌」という翻訳官が、ここに立派な庭園を建てました。清の時代に入ると、何氏は庭園を塩の販売で台南の一番の金持ちになった「吳尚新」氏に売却しました。吳氏は買収した庭園をリフォームし、「紫春園」と名付けました。その時から、地元の人は吳氏によって買収された庭園を「吳園」と呼んでいます。
日本統治時代に、吳園の所有者は当時の台南庁となりました。台南庁は、吳園の敷地内で公会堂や旅館、図書館、プール、食堂などの施設を建設しました。当時、吳園の周辺は台南で最も賑やかなエリアだったと言えるでしょう。
現在、吳園には「公会堂」と公会堂の横にある「料亭」、「紫春園」の三つの建物しか残っていません。ここに訪れたら、洋式の公会堂と日本式の食堂と中国風の家屋を融合した美しい建築物が一度に楽しめます。
「公会堂」は、1911年に日本人の建築師によって設計された建物です。バロック式の建築と日本の瓦屋根の建築を融合し、台湾で最古の集会所として知られています。公会堂には、吳園の歴史に関する文物が展示されているほか、コンサートや展覧会などの芸術イベントが開催されています。宮殿のような公会堂は結婚写真を撮る場所としても大人気です。
公会堂の横には、1934年に建てられた木造建築の料亭「柳屋」がありました。現在「十八卯」というお茶屋として利用されています。十八卯は、「柳」の字を分解して書いたもので、台南で有名な「奉茶」という茶芸館によって経営されています。旅に疲れたらここで台湾茶を飲みながら、リラックスした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。飲み物などのテイクアウトもできます。
十八卯お茶屋から公会堂の後ろに向けて散策していくと「野外劇場」に着きます。落ち着いた雰囲気が漂っているので、地元の人はもちろん、多くの観光客にとってもここでゆったりとした時間が楽しめます。
野外劇場に面する建物は、「吳尚新」氏によって建てれらた立派な中国風の家屋です。現在、「王育徳記念館」として利用されています。外の池の周りにある珊瑚礁で作られた山、竹、橋などの物は、一見の価値があります。
ちなみに、王育徳氏は台南市に生まれ、一生を台湾の独立に捧げた人です。彼の兄、王育霖は228政治事件で命を落したので、王氏は日本へ逃げざるをえなかったのです。王氏は日本に滞在した時、台湾の独立運動や台湾文学に力を入れましたが、61歳の頃に亡くなりました。館内の一部分の展示説明は北京語と日本語が併記されているので、興味のある方は訪れてみて下さい。王育徳記念館の定休日は、月曜日と火曜日になります。
吳園の発音は、「ご縁」と同じく、台南市内の観光名所として人気があります。アクセスは、台鉄の台南駅から徒歩約10分で行けます。または、台鉄の台南駅で大台南公車(14番)というバスに乗り換えれば、行くこともできます。
参考:
台南「吳園」
台南市中西區民權路二段
30號
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